【6月14日 AFP】最後のドイツ皇帝の末裔(まつえい)、ホーエンツォレルン家とドイツの国立文化財団は13日、同家の文化財や美術品など数千点を公共に展示していくことで政府と合意したと発表した。

第1次世界大戦後に退位した最後のドイツ皇帝でプロイセン国王でもあったウィルヘルム2世の子孫ホーエンツォレルン家は、文化財の返還と所有をめぐり、政府と100年にわたって争ってきたが、ついに終結に至ったことになる。

ウォルフラム・バイマル文化担当国務相は「君主制から共和制への移行にさかのぼる100年に及ぶ争いが円満解決した」とし、「歴史的成果」と称賛した。

ホーエンツォレルン家の当主、ゲオルク・フリードリヒ・フェルディナント氏は声明で、「芸術を愛する市民のために、私たちが共有している文化遺産を永続的に保存、公開することをずっと目標にしてきた」と表明している。

報道によれば、コレクションには、絵画や彫刻、硬貨、書籍、家具など2万7000点が含まれている。

第1次世界大戦でのドイツ帝国敗北後、ウィルヘルム2世の亡命、退位に伴い、プロイセン王室は当初、財産を剥奪される予定だったが、1926年の法律の下で合意が成立。一族は、数百万ドイツ・マルクを受け取り、ベルリン周辺を中心に、現在のナミビアに至るまでの地域に所在する城や別荘、その他の資産を多数保有した。

しかし、第2次世界大戦でナチス・ドイツが敗北した後、ソ連による東ドイツ占領と共産主義支配により、さらなる財産没収が行われた。

1989年の「ベルリンの壁」崩壊後、1994年の法律で、旧ソ連によって財産を没収された人々の補償請求権が認められたが、「ナチス政権を支援しなかった」ことが条件とされた。

ホーエンツォレルン家は、王室の財宝を取り戻すために何年も政府と交渉を続け、法的手段に訴えたが、一族の代表は2023年、ウィルヘルム2世が「ナチスへの共感を示していたこともあった」と認め、訴えを取り下げていた。(c)AFP