地中海に沈んだ16世紀の商船発見、仏領海で最深
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【6月13日 AFP】フランス南部沖の水深約2500メートルの地中海の海底で、16世紀に沈没した商船の残骸が見つかった。同国文化省の当局者が11日に発表した。地中海を含むすべてのフランスの海域における最も深い場所での遺物発見となった。
水深2567メートルの海底で見つかった船は、陶器や金属棒を積載してイタリア北部から航行していたとみられる。これまでは、2019年に南仏トゥーロン沖2300メートルで見つかった沈没船が最深だった。
文化省の水中考古学部門責任者アルノー・ショーマス氏は「これはフランス領海の最も深い場所で発見された沈没船だ」と述べた。
海事当局によると、地中海に面するサントロペ沖で運用されていた水中ドローンが、沈没船を偶然発見した。
発見現場からは、注ぎ口がつままれた形をした壺200個が確認された。
これらの壺の一部には、ギリシャ語でイエスの名前の最初の3文字である「IHS」のモノグラムが刻まれていたほか、植物をモチーフにした模様や幾何学模様で覆われたものもあった。
このほか、約100枚の黄色い皿や2つの大釜、1つの錨、6門の大砲が確認された。
考古学者マリン・サダニア氏によると、現場はその深さゆえに略奪などを免れ、沈没当時の状態を保っていたという。
今後2年間で、船の3Dデジタルデータを作成するほか、現場からサンプルを抽出して詳しく調査が行われる。調査終了後、研究に用いられたサンプルは公共施設に保存される予定だ。(c)AFP